はじめに
「老後資金はとにかく貯金しておけば安心」と思っていませんか?
かつては銀行に預けておけば金利でお金が増える時代がありました。しかし、今は超低金利時代。さらに日本は物価がかなり上がり始め、円安も進行しています。もし貯蓄一択で老後資金を用意しようとするなら、将来、思わぬリスクに直面することになるかもしれません。
この記事では、
なぜ「貯蓄一択」が危険なのか
インフレと円安が老後資金に与える影響
40代・50代が取るべき具体的な資産運用方法
老後に備えて今からできる行動
をわかりやすく詳しく解説します。
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貯蓄一択が危険な理由
1. インフレに弱い
インフレとは物価が上がることです。
例えば、今1,000円で買えるものが、10年後に1,200円になっていたとします。これは2割のインフレです。あなたが銀行口座に1,000万円をそのまま置いておいても、物価が上がればお金の「実質価値」は目減りします。つまり「お金の力」が弱くなるのです。
例えば、年2%のインフレが20年間続けば、お金の価値は約66%に減少します。1,000万円が実質660万円分の価値しか持たなくなる計算です。銀行金利がほぼゼロに近い現在、ただ貯金しておくことは、インフレに対して「何も抵抗しない」ということを意味します。
2. 円安リスク
もう一つ、見逃せないのが円安です。
円安とは「1ドル=100円」が「1ドル=150円」になるような現象です。
円の価値が外国通貨に対して弱くなることを意味します。円安が進むと、海外から輸入するものの価格はどんどん上がり、私たちの生活は苦しくなります。例えば、ガソリンや食料品、家電などの価格はすべて上昇します。つまり、円安は私たちの生活コストを押し上げる直接的な要因となるのです。
特に40代・50代は、これから老後資金を本格的に形成する時期です。日本円だけで資産を保有している場合、円安とインフレのダブルパンチで資産価値が目減りしてしまう危険があります。
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なぜ今、インフレと円安が起こっているのか
1. 世界的な物価上昇
世界各国でコロナ禍以降、金融緩和政策により大量のマネーが供給されました。そこにウクライナ情勢など地政学リスクも重なり、原油や小麦などの資源価格が高騰しました。この影響は全世界に波及し、日本も物価上昇から逃れることができなくなっています。
2. 日本の慢性的な低成長
日本は30年間ほとんど経済成長していません。一方、アメリカや新興国は成長を続けています。こうした国々は利上げを行い、金利が上昇していますが、日本は低金利政策を続けています。結果として金利差が広がり、円安が加速しています。
3. 国債依存と財政リスク
日本はGDPの約2倍以上の国債残高を抱えています。今は日銀が買い支えている状況ですが、このバランスが崩れると、円の信頼低下→さらに円安→インフレ、という悪循環が起こる可能性もゼロではありません。
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40代・50代が取るべき具体的な対策
1. 生活防衛資金は確保
まず大前提として、突然の病気やケガ、リストラに備える生活防衛資金は必ず現金で持ちましょう。目安は生活費の1年分です。
2. 資産の一部を「分散投資」
現金だけではなく、「投資」を組み合わせましょう。
代表的な分散投資先は以下です:
全世界株式(オルカンなど)
米国インデックスファンド(S&P500やVTI)
債券(特にアメリカ国債など外貨建て資産)
金(ゴールドETFや純金積立)
リート(不動産投資信託)
3. 為替ヘッジなし外貨資産を保有
円安リスクを回避するために、外貨資産を持つのは非常に有効です。特に米国インデックス投資や外貨建て債券は、円安時に資産価値が上がるため円安対策となります。
4. 高配当株や配当再投資
40代は高配当株と成長株を組み合わせて運用し、配当は再投資に回します。50代は高配当株比率を少し高め、配当金を生活費の補填や旅行資金に活用するなど、取り崩しも視野に。
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資産運用のシミュレーション例
40代で年収600万円、貯蓄800万円の場合
生活防衛資金:300万円
投資資金:500万円
オルカン:300万円
米国債券:100万円
金・コモディティ:50万円
高配当ETF:50万円
毎月の積立
つみたてNISA:33,333円(オルカン)
iDeCo:23,000円(S&P500)
特定口座で月5万円(米国ETF、金、リート)
50代で年収500万円、貯蓄2,000万円の場合
生活防衛資金:500万円
投資資金:1,500万円
オルカン:700万円
米国債券:300万円
高配当ETF:300万円
金・コモディティ:100万円
国内リート:100万円
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老後資金の目標設定
40代なら:
老後資金として60歳時点で3,000万円~4,000万円を目指す
年間生活費300万円 × 25年(85歳まで)=7,500万円の支出に対して、
年金収入や退職金、投資利益で補完
50代なら:
すでに資産2,000万円あるなら、退職までに3,000万円を目指す
年金+資産取り崩し+配当で年240万円程度の生活を無理なく
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まとめ
「貯蓄だけで老後資金を準備する」のは、
インフレ
円安
金利ゼロ時代
の3つのリスクから非常に危険です。特に40代・50代は「守りと攻めのバランス」が重要です。生活防衛資金を確保したうえで、世界に目を向けた資産分散投資を行いましょう。少しずつでも「お金に働かせる」習慣を作ることで、10年後、20年後に大きな差がつきます。
日本円だけを信じて貯金一択にすることは、「船に穴が開いているのに気づかず進むようなもの」。その危険性に早く気づき、行動を始めた人だけが、将来お金に困らない老後を迎えることができます。
あなたも今日から、インフレや円安に負けない資産形成を始めてみませんか?
未来の安心は、「いま行動する勇気」から生まれます。
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投資は自己責任でお願いします。
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