関税発動!今後の世界経済はどうなるのか、世界景気後退シナリオ

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2025年4月、トランプ前大統領が再選後の初の主要政策として、米国における対中・対世界的な包括的関税政策を発表・発動しました。この動きは、彼が2018年にも実行した強硬な貿易政策の再来であり、今回は前回以上に広範囲に渡る国・地域に対し関税を課すことで、米国第一主義をさらに押し進める内容となっています。

1. トランプ大統領が発動した新関税の概要

2025年4月、ホワイトハウスから発表された新関税政策は次の3つの柱で構成されています。

1. 対中輸入品への35%の一律関税(電気製品、半導体、鉄鋼、繊維、自動車部品などを含む)

2. 不公正貿易を理由にEU、日本、韓国、カナダ、メキシコにも10〜25%の関税

3. WTO(世界貿易機関)の枠組みに縛られない単独措置

この発表により、世界の株式市場は動揺し、ドル高と同時に新興国通貨が大きく売られるなどの混乱が始まりました。

2. 各国の関税率と影響分析

中国

関税率:2025年4月9日から最大104%(ほぼ全製品に適用)

メリット:国内生産が促進され、自国市場の拡大に舵を切れる

デメリット:輸出依存度の高い経済にとっては大打撃。GDP成長率1%減少と予測

日本

関税率:24%(自動車、精密機器、化学品)

メリット:一部国内回帰の流れが起こりうる

デメリット:輸出企業(トヨタ、ソニー等)への大打撃。日経平均が1週間で13%下落

EU(ドイツ、フランス、イタリア中心)

関税率:20%(自動車、農産品、医薬品)

メリット:対米依存の見直しが進む

デメリット:ドイツ経済にとって自動車関税は致命的。景気後退懸念

韓国

関税率:25%(半導体、スマートフォン、鉄鋼)

メリット:国内市場シフトの加速

デメリット:半導体輸出比率が高く、サムスンやSKの業績悪化が懸念

カナダ・メキシコ

関税率:25%(農産品、鉱物資源、エネルギー関連)

メリット:短期的にはアメリカの代替市場探しで一部業種に恩恵

デメリット:北米経済圏の分断、NAFTA後継協定への影響

3. 世界経済へのインパクトシミュレーション

短期(2025年〜2026年)

世界貿易量:約1%減少(WTO試算)

世界GDP成長率:3.2% → 2.1% へ鈍化

株式市場:NYダウ11%下落、上海総合指数15%下落、日経平均25%下落

為替:ドル高進行、人民元・円・ユーロが売られる

原油価格:一時的に50ドルまで急落(景気後退懸念)

中期(2027年〜2030年)

サプライチェーンの再構築:中国以外のASEANやインドへの移行加速

スタグフレーションリスク:インフレ+景気減速の二重苦

新興国への影響:資本流出が進み、通貨危機の可能性(特にトルコ、アルゼンチンなど)

4. アメリカ経済の見通し

メリット

一部産業(鉄鋼、アルミニウム、エネルギー)で雇用回復

バイ・アメリカン政策が再加速

デメリット

消費者物価が急騰(輸入物価の上昇)

FRBの金融政策が難航(インフレ対策 vs 成長維持)

国際的孤立化の懸念

5. 投資家・企業への提言

1. サプライチェーンの多様化:中国依存から脱却し、インド・ベトナムへ

2. 為替ヘッジ強化:円安・新興国通貨の変動リスクに備える

3. 新興国投資の見直し:短期的にはリスク高

4. エネルギー・防衛産業などの注目セクター:政策の恩恵を受けやすい

6. 日本の個人投資家・家計への影響

輸入品の値上がり:家電、食料品などで物価上昇

投資信託・株式:外需株は下落傾向、内需・ディフェンシブ銘柄へシフト

為替:円安が進めば海外旅行・海外留学コスト増

金融政策:日銀の政策も不透明感強まる

結論:世界は「第二の貿易戦争時代」に突入か?

2025年のトランプ政権による新たな関税発動は、世界経済に多方面からの波紋を広げ、再び「保護主義」と「グローバル経済」の対立が表面化しています。特に今回の関税は、単なる米中の対立にとどまらず、世界中の国々が自国第一の経済政策を模索し始める引き金となっています。

今後の鍵は、各国の外交・経済政策、そして消費者・企業・投資家がいかに柔軟に対応していくかにかかっています。

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